256.役員室午後三時
2024.12.12
製造業に転職して2年が過ぎた。製造業に関する経済小説を探して見つけたのが,城山三郎の作品「役員室午後三時」。
高度経済成長期の昭和46年に発行しているので50年以上の前のものだが決して古さを感じない作品。
ワンマンで温情派の社長と派手でもなく策士でもない腹心を中心に経営とは何かを考えさせられるが,最後は飼い犬に手を噛まれる結果となる。
この物語は実在の会社「鐘紡」がモデルとなっている。戦前,鐘紡は日本一の売上を誇ったが,当時紡績業は斜陽産業となっていた。意地やプライドだけに誇示していたワンマン社長に対して,現状と将来性を考え側近中の側近であった伊藤専務(後の社長)が実際にクーデターを起こしている。その後化粧品を初めとする多角経営化に成功したが,バブル後伊藤社長の後継役員たちの粉飾決算などの不祥事を起こし「鐘紡」はご存知の通り解散に至っている。
改めて私も会社も時代に即した運営をしないと,舞台から去っていかざる得ないことを肝に銘じたい。